シラミについて
シラミとは?
シラミはかろうじて目に見える程度の翅(はね)のない昆虫で、人の頭、体、陰部に寄生します。 濃厚な接触を通じ、また衣類などの身の回りの品を共有することで、人から人に簡単に感染します。 人間に寄生するシラミは3種類おり、それぞれ寄生する場所が異なります。
シラミの種類
ヒトに寄生するシラミには、アタマジラミ・ケジラミ・コロモジラミの3種類があり、皮膚から吸血してかゆみや湿疹を起こします。
シラミはオス・メス関係なく、また幼虫から成虫まで一生を通して吸血します。
ヒトに寄生するシラミは他の動物には寄生せず、他の動物に寄生するシラミはヒトには寄生しません。
また、ヒトから離れたシラミは吸血できないため2~3日で死んでしまいます。ヒトから離れると運動能力は低く、翅もないので飛ぶこともできません。
アタマジラミ
体長:2~4㎜。 感染部位:頭髪 感染経路:髪の接触
ケジラミ
体長:1~2㎜。 感染部位:主に陰部 感染経路:性交渉
コロモジラミ
体長:2~4㎜。 感染部位:衣類 感染経路:体の接触・衣類
シラミは早期発見が大事
シラミはセメントのような硬い物質でしっかりと髪の毛に卵を固着させ、産み付けます。しっかりと髪に固着しているので指でつまんでもなかなかとれません。卵は側頭部や後頭部、耳の後ろをよく観察すれば見つけられます。
灰白色の楕円形で、髪の毛に付着しています。
髪の毛に産み付けられた卵は7~10日程で孵化します。
孵化した幼虫はさなぎにならず、3回ほど脱皮をして1~2週間で成虫になります。
成虫の生息期間はおよそ1ヵ月で、1日におよそ3~4個、1ヵ月で約100個も産卵します!
繁殖力が非常に強く、爆発的に数が増えていくので、早期発見が重要です。
治療法
アタマジラミの治療
ピレトリン系とピペロニルブトキシド入りのシャンプーやクリームを使用する方法、ローションやクリームタイプの薬剤をする方法などがあります。シラミを駆除するためのこれらの薬剤は、どれも新しく卵から孵るシラミも殺すために7~10日間にわたって繰り返し使用します。シラミは薬剤に対し耐性をもち始めていて殺すのが難しい場合もあるため、その場合は違う薬剤を投与する場合もあります。
シラミ自体に効果はありませんが、高温のヘアドライヤーを30分間あてることも虫卵を殺すのには役立ちます。虫卵は髪の毛が伸びるにつれ、頭皮から離れていきます。頭皮から約6ミリメートル以内に虫卵がみられなければ、生きたシラミはいないことになります。
多くの薬物治療では虫卵も殺すことができますが、除去することはできません。死んだ虫卵を取り除く必要はありませんが、薬剤ですべての虫卵を必ず殺せるわけではありません。生きている虫卵と死んだ虫卵は通常見分けがつかないため、これらの虫卵を取り除くことを推奨します。目の細かい櫛を使って、髪の根元からていねいかつ徹底的に髪をとかします。
ケジラミの治療
ケジラミは、アタマジラミと同じく、ピレトリンとピペロニルブトキシド入りのシャンプーとクリームにより治療することができます。パートナーにも感染している可能性が高いため、一緒にパートナーも治療したほうがよいでしょう。
コロモジラミの治療
コロモジラミは衣類や寝具類に生息し、人体には寄生しないため、コロモジラミの駆除には薬剤は通常使用されません。患者さんに出ている症状を治療するとともに、シラミのいる衣類や寝具類を交換するか、徹底的な洗濯またはドライクリーニングにより消毒することを推奨します。乾燥の際には、対象の物品を65℃以上の熱にさらすのが一番効果が高いと言われています。
シラミのQ&A
Q. シラミが流行る季節はいつですか?
A. シラミは季節に関係なく、1年中発生が見られます。プール開きなどの前の集団検査で感染に気付いたり、行事が多い時期にも多くなる傾向はあります。
Q. シラミがうつるとどうなりますか?
A. 寄生部位の吸血に伴う「かゆみ」と、掻き傷から細菌等に二次感染することもあります。
Q. 毎日お風呂に入り、髪も毎日洗っていてもシラミはうつるのですか?
A. アタマジラミは毛と毛が接触した時にうつるので、毎日お風呂に入って、髪を洗っていても、うつされないとは限りません。
アタマジラミは幼児や小学校低学年児童など、頭をくっつけて遊ぶことが多い年齢での感染率が高くなっています。また、お昼寝やお泊り保育の時なども注意が必要です。子供に添い寝する大人も感染に注意が必要です。
ケジラミは主に陰毛部にいるので性行為などで感染します。ケジラミは陰毛以外の体毛や頭髪に感染することもあり、まれに親から乳幼児のまつ毛やまゆ毛、頭髪にも感染することがあります。
Q. プールやお風呂でうつりますか?
A. プールやお風呂など、水の中ではシラミは毛から落ちないよう強くしがみついているので、うつることはまずないと考えていいでしょう。うつる原因は水ではなく、脱衣カゴやロッカー、タオルやクシなど体に触れるものを他の人と使い回すことでうつる可能性があります。
Q. アタマジラミを予防する方法は何ですか?
A. 頭の接触を減らすこと・体に触れるものを共用しないことです。クシやブラシ、タオルや帽子などを他の人と使い回ししないようにして下さい。ただ、どんなに気を付けていても、無意識につい頭を寄せ合ったりしてしまうものです。日頃から子供さんの頭をマメにチェックし、シラミに感染していないか確認してあげて下さい。
シラミにいち早く気が付いて、早く対応することで感染拡大を防ぐことができます。
参考サイト:KINCHO 誰にも聞けないシラミの話